【コラム】ひったくりで無期懲役!?

2016-12-26

「強盗」と聞くと、ナイフで店員さんを脅してレジからお金を取って…と、非常に物騒な犯行態様を想像する人が多いと思います。しかし、強盗罪が成立するのは、そのような場合のみに留まりません。

 

強盗罪(刑法236条1項)の成立には、財物奪取に向けた暴行・脅迫が必要です。また、この暴行・脅迫は、相手の反抗を抑圧するに足るものでなければならないとされています。先の例でいうナイフで脅すという行為は、相手に恐怖を与え、相手の反抗を抑圧する ものですから、まさに強盗罪が必要とする脅迫にあたります。

 

お金を取る手段として、比較的気軽に行われてしまうのがひったくりです。

 

通常の(スムーズに行われた)ひったくりの場合、犯人はカバン等の荷物を掴んで走り去るだけですから、相手方の反抗抑圧に足る暴行は認められません(この場合は単なる窃盗罪になります)。しかし、被害者が荷物にしがみついて奪われるのを阻止していたような場合に、被害者を振り払おうとして引きずってしまったり、暴力を振るったりすると、相手方の反抗抑圧に足る暴行があったとされ、強盗罪とされる可能性があります。

 

また、そのように暴行があったとされ、被害者が何らかの怪我をしてしまったような場合には、強盗致傷罪(刑法240条前段)という罪になる可能性があります。強盗致傷罪は、裁判員裁判の対象事件にもなっている重い罪です。

 

さらに、被害者が転倒して頭を打ったりして、そのまま亡くなってしまったような場合には、強盗致死罪(刑法240条後段)という罪が成立する可能性もあります。

 

人を殺すつもりなどなかったとしても、ひったくりの機会に行われた何らかの行為で被害者が死亡してしまったような場合には、強盗致死罪が成立する可能性があるのです。強盗致死罪は、死刑又は無期懲役という非常に重い法定刑が定められています。

 

ちょっとしたお小遣い稼ぎに…と軽い気持ちでひったくりをした結果、被害者が亡くなって取り返しのつかない事態になる、ということは、決して珍しいことではありません。もちろんそのような犯罪行為に手を染めないことが一番ですが、自分としては軽い気持ちでやったひったくりによって、取り返しのつかない重い罪を負うことになる可能性があるということです。

 

このような場合に、自分ではごく軽い罪にしか当たらないと思って警察に話をしていたら、「強盗罪にあたる事実を認めた」という内容の自白調書が作られてしまう恐れがあります。そして、その自白調書に基づいて、自分では思ってもいなかったような重い罪名で起訴される(裁判にかけられる)ことも十分にあり得ます。

 

ひったくりで逮捕された、というような場合には、すぐ刑事弁護に精通したに弁護士に相談することが肝心 です。

 

ページの上部へ戻る

Copyright(c) 2014 早稲田リーガルコモンズ法律事務所 All Rights Reserved.