【コラム】共犯事件と弁護活動

2016-01-07

1 共犯とは

共犯とは、複数の人物が一つの犯罪に関与する形態の犯罪です。共犯には、関与の仕方によって、大まかには、自ら犯罪を実現する意思を持って共犯者と意思を連絡して犯罪を行う「共同正犯」と、従たる立場で正犯者の犯罪の実現に関与する「幇助犯」「教唆犯」があります。

「幇助犯」とは、正犯者の犯罪の実現を容易にしたもの(例えば、犯罪現場からの逃走を手伝ったなど)、「教唆犯」とは、正犯者をそそのかして犯罪を実行させた者のことです。

 

2 共犯事件の難しさ

(1)共犯者の間での利益の対立のおそれ

共犯事件では、共犯者ごとにそれぞれ言い分がありますし、利害関係も様々です。特に、共犯者の間でも利害が対立することはよくあることです。典型的には、共犯者それぞれが罪を軽くしようと考えた結果、双方が「主犯格は自分ではなく共犯者である」と押し付け合う場面がそれに当たります。
自白をするかどうかの場面では、他の共犯者がいかなる供述をしているかが関心事になります。

これらの状況は、現実の事件でも十分に起こりえます。共犯事件で被疑者・被告人という立場に置かれた方は、自分がどのように振る舞えば最も利益になるかを判断しなければなりません。

(2)厳しい身体拘束のおそれ

共犯事件では、共犯者全員まとめての身体拘束に発展することが少なくありません。捜査機関は、共犯者が互いに連絡を取り合い、証拠隠滅をすることを強く警戒します。そのため、単独犯であれば身体拘束にまで発展しないような事件についても、主犯に対する捜査の飛び火で逮捕・勾留の手続が取られることもあります。

さらに、共犯事件は込み入ったものが多く、捜査は時間がかかりがちです。したがって、身体拘束が単独犯に比して長くなる傾向にあり、勾留の延長がされやすかったり、保釈がされにくかったりといった不利益を受けることが多いです。また、接見禁止が付くケースが非常に多く、家族や友人の方の面会は大幅に制限されます。

 

3 共犯事件における弁護活動

共犯事件においては、弁護人としても共犯事件ならではの難しさがあります。そして、その難しさは、共犯者間でいかに自身の利益を実現するかというだけにとどまりません。

(1)複数の共犯者からの受任について

一人の弁護士が、複数の共犯者の弁護をすることは、原則としてできません。なぜなら、共犯者の利害が互いに対立することは決して少なくないからです。典型的には、2人の共犯者が互いに「主犯はあいつだ」と言っている場合に、両方の弁護人を引き受けると一貫した主張ができなくなってしまいます。これでは、弁護人はもはや依頼者の味方と呼べません。

このような場合、共犯者の弁護人間で必要な範囲で協力して対処するか、個別に対処することとなります。他方で、非常に稀ですが、一部の共犯者間で利害が完全に一致している場合には、かえって複数の依頼者からまとめて依頼を受けるべきケースもあります。弁護人にとっては、その見定めにあたって、非常に厳しい判断を迫られることになります。

(2)身体拘束からの解放

上記のとおり、共犯事件では厳しい身柄拘束を受けがちです。その早期解放を目指すことは、弁護人にとって非常に重要です。勾留が始まるまでに、裁判官と面談をしたり、勾留が決定されてしまったら、勾留の開始決定に対して準抗告という異議申立てを出したり、逮捕後事情が変わったとして勾留の取消請求を出すこともあります。さらに、勾留が延長されたことに対してさらに準抗告を出すことや、起訴後に保釈請求をするなど、身体拘束に対して弁護人は臨機応変に対応することが求められます。

(3)裁判手続

共犯事件においては、併合審理(他の共犯者と一緒に裁判を受ける)を選択すべき場合と、手続を分離(裁判所に、他の共犯者とは別に審理をして欲しいと求める)すべき場合があります。そのどちらを選択し、いかに裁判所を説得するか、ここも弁護人として訴訟戦略的に難しい判断を迫られる場面です。

また、特に併合審理をする場合には、共犯者の弁護人が一堂に会することになります。他の弁護人に明らかに劣っては、自分の依頼者に有利な結論が導かれることはありえません。弁護人にとっては、法廷で力量が問われる一場面となります。

 

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