【コラム】外国人の刑事事件(通訳の問題)

2019-11-13

しばらく前になりますが、東京地方裁判所で行われていた裁判員裁判において、インドネシア語の法廷通訳人による誤訳や訳し漏れが約200か所もあったことが判明したというニュースが報道されました。
その事件で裁判所が採用した鑑定書によると、「証言していません」を「覚えていません」とした誤訳や、「指紋の持ち主が被告と分かった」という証言を「ホテルに滞在していたのが被告と分かった」とした誤訳、更に「1983年」を「1985年」と誤訳したものまであったそうです。
あまりに杜撰です。

日本語を話せない外国人が被告人となる刑事事件は決して少なくありません。
また、日本人が被告人である場合でも、外国人が証人として呼ばれるケースもあります。
このようなときに、問題となる言語の壁を取り払うのが法廷通訳です。
平成26年の時点では、全国の裁判所で判決を受けた外国人約58400人のうち、通訳人がついた外国人被告人は約2400人で、その国籍は74か国、使用された言語は40言語にも及んだそうです。

弊所でも外国人の方の事件を受けることが多くありますが、通訳事件の難しさを日々痛感しています。
証拠の翻訳や、尋問の際の通訳人の誤訳を指摘して、法廷で争うこともしばしばあります。
中国語のできる弁護士と共同で事件を受任して、法廷での通訳についてその場で異議を述べたこともあります。
それでも、現実には翻訳や通訳の内容に対する疑問も払拭できないまま有罪判決を受けることもあり、到底受け入れがたい気持ちになります。

人工知能等による同時通訳の技術も研究されていますが、そのような先進的な技術が裁判所に導入されるまでには時間もかかりそうです。
刑事裁判に携わる者として、法廷通訳人を介した外国人事件の審理の在り方を真剣に考えて行かなければならないと感じています。

髙橋

 

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