【コラム】未成年の犯罪と少年法

2015-04-02

1 今注目を集める少年法

先日、神奈川県川崎市の河川敷で少年が死体で発見された事件で、殺人罪の容疑で18歳の少年1人が逮捕されたことは記憶に新しいところです。この事件に関して、少年法の改正が国会で議論されていますが、刑事事件における少年と成人の取扱いがどのように異なるのかを解説したいと思います。

 

2 少年法の趣旨

刑法・刑事訴訟法が規定する刑事訴訟制度は、検察官に起訴された被告人について、特定の犯罪行為について有罪・無罪を判断し、有罪である場合には、その犯罪行為に応じた刑罰を課すことで、将来の犯罪を抑止しようとするものです。

これに対して、少年法は、20歳未満の「少年」の「健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う」(少年法第1条)ことを目的としています。すなわち、少年は、成人に比べてさまざまな点で未熟であり、周囲の状況に影響されやすい一方で、その性格や生活環境を改善することによって価値観や行動を良い方向へ導いて「更生」することが可能であるという判断に基づくものです。

 

3 具体的な差異

2で述べたとおり、少年法の考え方は、刑法・刑事訴訟法の規定する刑事訴訟制度の考え方には大きな違いがあり、そのため少年法の規定は、刑事訴訟制度と差異があります。

以下では、そのうち代表的なものについてご紹介いたします。

(1)捜査段階における差異

成人と同様に、少年も逮捕され、逮捕から72時間は警察の留置場にとめおかれて、その間警察官や検察官による取調べを受けます。
次に、成人の場合は、検察官がさらに10日間の身柄拘束である勾留を請求することが基本です。しかし、少年の場合は、警察の留置場にとめおくことは少年にとって心身に大きな負担となるので、少年法上、勾留に代わる観護措置が原則とされ、警察の留置所での勾留は「やむを得ない場合」でなければ請求することができず、少年鑑別所に収容されることになっています。

もっとも、実際の運用では原則と例外が逆転しており、ほとんどのケースで警察の留置所に勾留されてしまいます。警察の留置所と少年鑑別所とでは、処遇が全く異なります。そこで、警察の留置所での勾留の弊害が重大であるケースでは、弁護人が積極的に資料等を収集し、検察官や裁判所に働きかけて、勾留に代わる観護措置を求めなければなりません。

(2)公判段階における差異

少年については、成人と同様に刑事訴訟手続に乗るのではなく、家庭裁判所において、「少年院送致」や「保護観察」等の少年の更生にとって適切な処置が選択されます。
成人の刑事裁判は、公開の法廷で、検察官が当事者として参加し、審理がなされますが、家庭裁判所の少年審判は、非公開で、重大事件を除き検察官は参加できません。なお、現在国会で審議されている少年法の改正においては、厳罰化と併せて、検察官が参加できる事件の対象拡大も議論されています。

もっとも、家庭裁判所における少年の調査の結果、刑事処分が相当であると判断された場合は、少年は検察官に逆送致され、成人と同様に刑事訴訟手続に移行することになります。少年が通常の刑事裁判手続きを受け、刑事処罰を受ける不利益は重大ですから、逆送致が予想される事件では、付添人である弁護士は、逆送致せずに少年法上の保護処分がなされるよう、少年の更生のための環境を整備したり、少年や家族の言い分を十分に裁判所に理解してもらえるよう裁判官や家庭裁判所の調査官への働きかけを行います。

 

(3)プライバシーの保護

少年審判に付された少年及び犯罪事実について公訴を提起された少年に関して、環境調整等を阻害して少年の更生を妨げるおそれがあるので、氏名等から当該事件の犯人であることがわかるような記事や写真を新聞紙等に掲載することはできません。

 

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