【コラム】物を盗んだら必ず窃盗罪?

2015-04-22

他人の財産を奪う犯罪である窃盗罪や詐欺罪、強盗罪などは、単純に物を奪うだけでは成立せず、これに加えて、「不法領得の意思」という意思がなければ、犯罪として成立しません。不法領得の意思とは、簡単に言うと、「ある物について、それを持っている人を排除して、自分のものとしてその物を利用したり処分したりする意思」を言います。

誰かが勝手に他人の物を持ち去った場合は、傍から見たら、泥棒(窃盗罪)と思われるかもしれません。

ですが、不法領得の意思がなければ、傍からは窃盗罪のように見えても、窃盗罪が成立しないのです。
具体的に考えてみましょう。次のケースは、窃盗罪が成立するでしょうか。

 

【ケース1】

Aさんは、友人のBさんの家に遊びに行ったところ、Bさんの机の上に、最近流行りのオレンジ色のネコのキャラクターが書いてある腕時計があることに気付きました。

Aさんは、オレンジ色のネコのキャラクターのグッズがネットオークションで高く売れることを知っていたので、この腕時計をネットオークションで売ってお金を儲けようと考えました。

そこで、Aさんは、Bさんがトイレに行った隙に、その腕時計を自分のバッグに入れてBさんの家から持ち帰ってきてしまいました。

 

【ケース2】

Aさんは、友人のBさんの家に遊びに行ったところ、Bさんの机の上に、最近流行りのオレンジ色のネコのキャラクターが書いてある腕時計があることに気付きました。

Aさんは、日頃から、Bさんのことが嫌いだったので、この腕時計が無くなったらBさんが困るだろうと思い、嫌がらせしてやろうと考えました。

そこで、Aさんは、Bさんがトイレに行った隙に、その腕時計を自分のバッグに入れてBさんの家から持ち帰ってきてしまいました。

 

どちらのケースも、Aさんが、Bさんの腕時計を勝手に持ち帰ってしまったという外形的な事実は同じです。違うのは、「お金儲け」のためか「嫌がらせ」のためかというAさんの気持ちです。

「お金儲け」をするために、Bさんの腕時計を勝手に持ち帰った場合には、腕時計の持ち主であるBさんを排除して、Aさんのものとしてネットオークションで売って処分しようとしたので、冒頭に書いた「不法領得の意思」があるといえます。

これに対し、「嫌がらせ」をするために、Bさんの腕時計を勝手に持ち帰った場合には、腕時計の持ち主であるBさんを排除しているものの、Aさんのものとして売ったり、使ったりするつもりはないことになります。つまり、冒頭に書いた「不法領得の意思」がないといえます。

そうすると、ケース1のAさんには窃盗罪が成立しますが、ケース2のAさんには窃盗罪が成立しないことになるのです。

ただ、Aさんの心の中は、Aさんしか知りません。

しかし、窃盗罪と言われて警察に捕まった場合、本当は、Bさんに対する「嫌がらせ」のつもりで持ち帰ったのに、「ネットオークションなどで売ってお金儲けするつもりで持ち帰って、まだ出品してなかっただけだろう!」と言われてしまうおそれがあります。

 

このようなときには、Aさんが「嫌がらせ」のために持ち帰ったことを主張し、それを推認させる証拠を集めることが大切です。「日頃からAさんとBさんの仲が悪かった」ことや、「Aさんはお金を十分持っていて、わざわざネットオークションで売ったりしてお金儲けをする必要がなかった」ことを証明する証拠などを探して集めます。

弁護士は、専門知識や経験から、そのようなケースで何が証拠になり、どのように事件を進めるべきかのアイデアを持っています。

もしこのようなことが起きてしまったら、弁護士にご相談下さい。適切な対応を助言します。

 

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