【Q&A】「万引き」「かごダッシュ」の代償

2015-02-19

「万引きをしても、すぐに釈放される」「少しの罰金を払っただけの処分で済む」などと聞いたことがある方もいるかもしれません。また、「もし万引きして見つかっても、大した罪にならない」という人もいるかもしれません。しかし、万引きを甘く見てはいけません。一生を棒に振ることになりかねないのです。

 

1.万引きはどんな罪?
元々、「万引き」という言葉は、法律用語ではありません。法律では「窃盗罪」(刑法235条)という犯罪になります。
ゲーム感覚で行われることがある「かごダッシュ」(スーパー等で買い物かごに商品を入れたまま、かごごと持ち逃げすること)も同じく「窃盗罪」です。
窃盗罪の法定刑は、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金です。「懲役」、つまり刑務所に入る可能性がある罪です。「罰金」の場合にも、お金が払えないときには「労役場留置」といって刑務所内の施設に入って作業しなければならないことがあります。

 

2.万引きが見つかって抵抗したら?
そして、「万引き」や「かごダッシュ」が店員や警備員等に見つかった際に、捕まらないために、又は、盗んだものを取り返されないためになど、店員や警備員等に暴行を加えたり脅迫したりして抵抗する例があります。
このような場合、その暴行等の程度によっては「事後強盗罪」(刑法238条)として処罰されることがあります。この場合、もはや「窃盗罪」ではなく「強盗罪」(刑法236条)と同じに扱われることになります。「強盗」というと、典型的には覆面をして、包丁を持って、人の家に押し入っていく姿を思い描くかもしれません。万引きも、これと同じ「強盗罪」として処罰されることがありえるのです。強盗罪の法定刑は、五年以上二十年以下の懲役です。罰金刑は予定されていません。

 

3.抵抗して相手が怪我や死亡してしまったら?
さらに、この暴行や脅迫の機会に相手が怪我をしてしまった場合には「強盗罪」にとどまらず「強盗致傷罪」(刑法240条前段)に、不幸にも相手が死亡してしまった場合には「強盗致死罪」(刑法240条後段)に問われる可能性が出てきます。
判例では、暴行によって直接に怪我や死亡した場合だけでなく、暴行や脅迫の機会に相手が転んで怪我や死亡してしまった場合にも、強盗致傷罪や強盗致死罪が認められたものがあります。
強盗致傷罪の法定刑は、六年以上又は無期の懲役です。強盗致死罪の法定刑は、無期懲役か死刑しかありません。
強盗致傷罪も強盗致死罪もいわゆる裁判員裁判の対象となります。一般の人が関与する裁判で、重大事件として処罰を受けることになります。

 

4.万引きと弁護人の活動

(1)不起訴、略式手続、刑の減軽を目指して
万引きは、事件後の対応次第では、「不起訴」といって裁判にかけられない処分で済むこともあります。特に、同種前科のない方で、被害者(店)との間で示談が成立し、被害者が罪を許してくれた場合には、その可能性は高まります。あるいは、同種前科のある方でも、示談によって正式な裁判ではなく「略式手続」という形で罰金にとどまる処罰を受けたり、万が一、裁判になったとしても検察官の求刑より軽い刑になったり執行猶予がついたりすることがあります。被害者対応を行い、検察官にその証拠を提出することは、この種事件でまず弁護人がなすべきことです。
また、裁判所も検察庁も、犯罪をしてしまった人の今後の更生を考えます。親族や職場の調整を行い、必要な情報を証拠化するためにも、早期に弁護士に依頼をしていただきたいと思います。

(2)重く処罰されないために
上に述べたように、万引きの際に相手に暴行を加えるなどしてしまった場合、窃盗罪ではなく、強盗罪や強盗致傷罪、強盗致死罪として身柄拘束を受けることがあります。そして、上記のとおり、窃盗罪になるか強盗(致死傷)罪になるかは、刑の重さに決定的な違いがあります。そのため、私たちは、自分の依頼者がこれらの罪で身柄拘束を受けた場合、より軽い罪が成立するのではないかと検討します。
強盗(致死傷)罪の成立を争う場合には、犯罪の成立を認める事件(「自白事件」といいます)とは全く異なる対応を要します。捜査機関の取調べに対応する、黙秘権の行使を検討する、裁判の準備を行う、身柄の解放に向けた活動を行う、そして何より、法廷で充実した弁護活動を行う。いずれも高度なスキルを要する事項です。自白事件と争う事件では、必要な対応が全く異なります。
もしも、あなたやご家族が言われなき罪で処罰されそうになっている場合、速やかに弁護士に依頼することをお勧めします。

 

万引きで捕まったとき、万引きのつもりが相手に暴行を加えてしまったとき、すぐに弁護士にご相談ください。その先の対応を一緒に考えましょう。

 

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