Archive for the ‘コラム’ Category

【コラム】逮捕されたらいつ出られるか…①

2019-04-24

72時間、10日、20日・・・。

有名人が逮捕されると、テレビのワイドショーなどで、こういう数字をよく耳にします。

いずれも、刑事訴訟法の勾留に関する条文に絡む数字です。

逮捕後、最大72時間以内に検察官は10日間の勾留請求するか、釈放しなければなりません。つまり、このタイミングが、逮捕されて勾留されずに釈放されるか、10日間の勾留がなされてしまうかを決める重要なタイミングです。

最大72時間以内なので、実際には、もっと早く決まってしまいます。

東京地検本庁(多くは東京23区内の警察で逮捕された場合)では、逮捕の翌日には検察官が勾留請求し、翌々日のお昼頃には裁判所が勾留決定をしてしまうケースがほとんどです。

それまでに弁護人が適切な弁護活動がなされることで、何もしなければ当然のように10日間の勾留決定がなされてしまったであろう事件で、釈放されるケースはたくさんあります。

何もしなければ、検察官も裁判官も、ほとんど警察官が集めた証拠だけをもとに、勾留するかどうかを決めてしまうからです。

もっと早く依頼してくれていたら・・・と思う事件に遭遇することは、残念ながら刑事弁護人にとって日常茶飯です。

多くの刑事弁護人や弁護士会は、長年にわたり逮捕直後から国選弁護人を選任できる法律の制定を目指していますが、根強い反対があり、未だに実現できていません。

                                            (②に続きます。 小泉)

【お知らせ】出演情報(四宮啓弁護士)

2019-03-25

当事務所の四宮啓弁護士が、本日下記のテレビ番組に出演いたします。

 

 

BS11  報道ライブ インサイドOUT

「導入から10年 “裁判員制度”を大検証」

 

 

ーーーー以下番組ホームページより転載ーーーー

ゲスト:四宮 啓(弁護士 / 賛成派)、高山 俊吉(弁護士 / 反対派)

「国民に開かれた司法の実現」の名の下に裁判員制度が導入されて、今年の5月で10年となる。裁判所、弁護士など、法曹界がこぞって賛成しての実施だったが、それは、立場の違いを反映した「同床異夢」のものだった。
「国民への理解」を広げたい裁判所に対し、多くの冤罪を生んだ刑事裁判に「主権者たる国民の参加」による改革を目指した弁護士側。最高裁のアンケートでは「裁判員を務めた9割以上が肯定的な感想を持った」など、プラスの側面が強調されているが、その一方で裁判員の辞退率は7割を超え、無断欠席も増加している。
果たして当初の目的は果たされているのか?裁判員制度、その功罪を考える。

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番組ホームページ:https://www.bs11.jp/news/houdou-live-insideout/

【コラム】自首すれば逮捕されない?

2019-03-24

「もう全部わかっている。お前が自首してくれれば悪いようにはしない。」
刑事ドラマなどで、よく警察官が言いそうな台詞です。しかし、この台詞は正しくありません。

法律上、「自首」については次のように定められています。
【刑法42条1項】
 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

 つまり、法律上の「自首」の成立には、捜査機関に犯人であることが発覚する前であることが必要ということです。
既に犯罪または犯人が発覚し、捜査機関が捜査を始めていた場合には、自分から出頭しても法律上の自首には当たりません。

 自首が成立した場合のメリットは、処分・処罰を軽くする事情として考慮されるということがあげられます。
また、もし自首したにもかかわらず裁判を受けることになっても、懲役刑に執行猶予が付されて実刑を免れたり、刑期を短くする有利な事情として考慮されたりすることもあります。

 一方で、自首が成立したとしても、逮捕・勾留などの身柄拘束を免れるとは限らないという点は注意が必要です。捜査機関に犯罪を告白するわけですから、その内容によっては、後日逮捕されることも十分ありえますし、自首したその日に逮捕される可能性もあります。当然、一度捜査機関に告白した内容を忘れてもらうことはできません。

 

「もしかしたら自分のしたことは犯罪かもしれない。」「先に自分から告白して反省を示した方が、罪が軽くなるのではないか。」

そのような悩みをお持ちの方は、ぜひ早めに弁護士に相談することをお勧めします。
内容次第では、犯罪に当たらなかったり、警察があえて捜査するほどのものではなかったり、そのままにしていても逮捕まではされないものだったりするということもあり得ます。
また、仮に自首しようとなった場合でも、警察署などへの出頭に弁護士が付き添うことで、確実に「自首」を成立させたり、少なくとも有利な事情として今後使われるように記録に残させたりすることができます。身柄拘束の前から弁護人を選任しているということは、その後の活動にとって大きなプラスになります。

                                                    (髙橋)

【コラム】刑の一部執行猶予とは?

2019-03-01

「クスリはやめられない。」私たちは何度もそう注意喚起され、危険性について十分認識しているはずです。

しかし、覚せい剤や大麻、危険ドラッグなどは、一般の人が思っている以上に身近にあります。そして、安易な気持ちでクスリを使用してしまった人が、同じ罪を繰り返してしまうことが多いのも事実です。

 現在、日本の刑事裁判では、覚せい剤などの薬物を自ら使用したり、自ら使用するために所持したりといった事件の初犯者であれば、起訴されて裁判所で審理を受ける場合でも、執行猶予がついて服役を免れる可能性はあります。

 

しかし、先に述べたように、覚せい剤などの事件は再犯率がとても高く、2回目、3回目と同じ罪を犯してしまう人がたくさんいます。2回目、3回目の裁判ともなれば多くの場合に実刑判決となり、刑務所に収監されます。そして、服役して更生を誓ったはずの人たちも、社会に出れば再び薬物に手を染めてしまい、刑務所に舞い戻る…という事例が後を絶ちません。

このような現状に対して、薬物依存者の更生には、刑務所に収監するだけでは不十分なのではないかという指摘がありました。薬物依存者に必要なのは、収監ではなく治療であり、専門治療施設等への入所・通院を前提として、その分服役期間を短縮するという方法が再犯率の減少に効果があるのではないかという指摘です。 

このような問題点を踏まえて、2016年6月1日から、刑の一部執行猶予制度の導入等を内容とする「刑法等の一部を改正する法律」及び「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部執行猶予に関する法律」が施行されました。

今までは、言い渡された刑期を原則として刑務所で過ごす実刑判決か、刑期の全部を執行猶予とするかの2つの選択肢しかありませんでした。しかし、この法律の施行により、一定の犯罪(薬物事犯に限りません。一定の薬物事犯については、異なる要件が定められているものがあります。)について3年以下の懲役・禁固を言い渡すときは、判決でその刑の一部の執行を猶予することができるようになりました。

例えば、「2年の懲役刑で、そのうち6か月の執行を猶予する」という判決の場合には、判決後、先に1年半の間刑務所に収監され、その後6か月を残して社会に戻る(多くの場合に保護観察が付きます。)、ということになります。

立法過程の議論では、この制度は、従来の枠組みで実刑相当とされていた事件について付されるもの、とされています。つまり、これまでの制度で全部執行猶予が見込まれた事件ではなく、実刑が見込まれていたような事件で、一部執行猶予になる余地があるということです。

すでに述べた通り、この制度では、特に薬物事犯における再犯防止への効果が期待されています。薬物事犯では、刑の一部執行猶予期間中は必要的に保護観察が付きます。そのため、少しでも短い期間で刑務所から社会復帰して、社会内で薬物処遇プログラムを受け、薬物処遇重点実施更生保護施設に入所するなど、再犯防止に向けた専門的な治療を受けることが可能になるのです。

従来であれば実刑が予想された依頼者について、積極的に刑の一部執行猶予判決を求めていく事例も当然でてきます。一部執行猶予が狙える事件なのかどうかは、法律の条文を丁寧に確認することが必要です。

当事務所でも、こうした新しい制度については随時知識をブラッシュアップし、適切な対応をとれる体制を整えています。

                                                    (髙橋)

【お知らせ】無罪判決を獲得しました

2019-03-01

趙誠峰弁護士が弁護人を務めた準強制わいせつ被告事件において、2019年2月21日東京地方裁判所は、「事件があったとするには、合理的疑いを差し挟む余地がある」として無罪とする判決を言い渡しました。

https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20190220-00115538/

【お知らせ】刑事事件の弁護士報酬基準を改訂しました

2019-02-05

早稲田リーガルコモンズ法律事務所では、設立以来、刑事弁護を重点分野のひとつとして取り組んでいます。

刑事事件は、自分には関係ないと思われがちですが、身近な人がひょんなことから事件に巻き込まれることは少なくありません。また、昨今、司法取引が導入され、企業における刑事事件への対応も専門的知識が要求されるようになってきています。

 

当事務所刑事弁護チームでは、重大事件や否認事件から身近におきる軽微な事件まで、幅広く対応しています。

事務所創設以来6年連続で無罪判決を獲得するなど、結果にこだわる弁護活動を展開してきました。

 

これからもチーム一丸となり、依頼者のみなさまのご不安を少しでも取り除けるよう精一杯取り組みます。

このたびの基準改訂も、依頼者のみなさまにとってより明確に費用イメージを持っていただけるように工夫してのことです。

どうぞご確認いただき、ご不明点はお気軽にお問い合わせください。

【コラム】ひったくりで無期懲役!?

2016-12-26

「強盗」と聞くと、ナイフで店員さんを脅してレジからお金を取って…と、非常に物騒な犯行態様を想像する人が多いと思います。しかし、強盗罪が成立するのは、そのような場合のみに留まりません。

 

強盗罪(刑法236条1項)の成立には、財物奪取に向けた暴行・脅迫が必要です。また、この暴行・脅迫は、相手の反抗を抑圧するに足るものでなければならないとされています。先の例でいうナイフで脅すという行為は、相手に恐怖を与え、相手の反抗を抑圧する ものですから、まさに強盗罪が必要とする脅迫にあたります。

 

お金を取る手段として、比較的気軽に行われてしまうのがひったくりです。

 

通常の(スムーズに行われた)ひったくりの場合、犯人はカバン等の荷物を掴んで走り去るだけですから、相手方の反抗抑圧に足る暴行は認められません(この場合は単なる窃盗罪になります)。しかし、被害者が荷物にしがみついて奪われるのを阻止していたような場合に、被害者を振り払おうとして引きずってしまったり、暴力を振るったりすると、相手方の反抗抑圧に足る暴行があったとされ、強盗罪とされる可能性があります。

 

また、そのように暴行があったとされ、被害者が何らかの怪我をしてしまったような場合には、強盗致傷罪(刑法240条前段)という罪になる可能性があります。強盗致傷罪は、裁判員裁判の対象事件にもなっている重い罪です。

 

さらに、被害者が転倒して頭を打ったりして、そのまま亡くなってしまったような場合には、強盗致死罪(刑法240条後段)という罪が成立する可能性もあります。

 

人を殺すつもりなどなかったとしても、ひったくりの機会に行われた何らかの行為で被害者が死亡してしまったような場合には、強盗致死罪が成立する可能性があるのです。強盗致死罪は、死刑又は無期懲役という非常に重い法定刑が定められています。

 

ちょっとしたお小遣い稼ぎに…と軽い気持ちでひったくりをした結果、被害者が亡くなって取り返しのつかない事態になる、ということは、決して珍しいことではありません。もちろんそのような犯罪行為に手を染めないことが一番ですが、自分としては軽い気持ちでやったひったくりによって、取り返しのつかない重い罪を負うことになる可能性があるということです。

 

このような場合に、自分ではごく軽い罪にしか当たらないと思って警察に話をしていたら、「強盗罪にあたる事実を認めた」という内容の自白調書が作られてしまう恐れがあります。そして、その自白調書に基づいて、自分では思ってもいなかったような重い罪名で起訴される(裁判にかけられる)ことも十分にあり得ます。

 

ひったくりで逮捕された、というような場合には、すぐ刑事弁護に精通したに弁護士に相談することが肝心 です。

【コラム】TPPと知的財産権

2016-02-18

1 TPPと知的財産権

TPPは、貿易の自由化を推進するために、国内市場を閉鎖的にする規制の撤廃や貿易の自由化を推進するための措置を加盟国に要求します。

そのため、TPPの締結による国内産業への影響が危惧されています。特に、農業や医療分野への影響がよく報道等で取り上げられていますが、知的財産分野にも「著作権侵害の非親告罪化」や「著作権保護期間の大幅延長」等、大きな影響が生じることが指摘されています。

その中でも、「著作権侵害の非親告罪化」は、特に重要な論点です。今回はこの点についてご説明します。

2 「著作権侵害の非親告罪化」

親告罪とは、被害者等からの告訴がなければ検察官が起訴することができない犯罪のことをいいます。親告罪が告訴なしに起訴された場合、その訴訟は、訴訟条件を欠くため、公訴棄却の判決により具体的な審理に入ることなく訴訟が打ち切りになります。

このような親告罪が認められている根拠はさまざまであり、犯罪の性質上、被害者の名誉を尊重する趣旨である場合(名誉棄損罪、強姦罪等)や軽微な犯罪である等の理由で訴追するかどうかを被害者の意思で決定しようとする場合(器物損壊罪等)があります。

著作権侵害の場合、大規模な海賊版の領布から論文の剽窃行為まで侵害の態様は多様で、中には表現物として著作権者が容認している場合もあります。

このように、著作物については表現の自由に関わる問題であることも踏まえ、著作権者に処罰の要否の判断を委ねるべきとの要請があります。また、著作物が著作者の全人格が反映されていること(「著作者人格権」といいます)からすると、訴追によって事実関係が明るみになることによって、かえって著作権者の権利を害することもあるとも考えられてきました。

そのため、これまでは、被害者が処罰を希望していないときにまで国家権力が処罰を行うことは妥当でないと考えられてきました。

一方で、ご存知のとおり、海外で製作された海賊版のDVD等が広く溢れています。このような状況の中で、著作権者が告訴しない限り、著作権侵害を取り締まることができないというのは、著作権保護強化の観点から不十分です。

そこで、被害者の告訴がなくても、検察官が自由に訴追できるようにすることで著作権の保護を手厚くしようと、著作権侵害の非親告罪化が主張されています。

しかしながら、このような非親告罪化の主張に対しては、実際には、著作権侵害の非親告罪化は著作権の保護の強化に効果的でなく、また、同人誌の製作等の二次創作活動への委縮効果や捜査機関による著作権侵害の恣意的運用のおそれがあると強い批判が加えられています。

他方で、一部悪質な事例についてのみ非親告罪化を進めるべきではないかという議論もあります。日本弁護士連合会も、平成19年2月に著作権事件の非親告罪化に反対する声明を出しています。

3 最後に

著作権侵害の非親告罪化により、思いがけないところに著作権侵害として処罰されるリスクが生じるかもしれません。たとえば、これまで処罰の対象にならなかったパロディーや、動画をウェブにアップロードする行為も、著作権者の告訴なく処罰の対象となる危険があります。

万が一、あなたやあなたの大切な方が著作権侵害により処罰されてしまいそうになった場合、速やかに弁護士にご相談下さい。弁護士は、著作権侵害の有無について見通しを立て、不当な処罰がなされないように断固として戦います。

【コラム】共犯事件と弁護活動

2016-01-07

1 共犯とは

共犯とは、複数の人物が一つの犯罪に関与する形態の犯罪です。共犯には、関与の仕方によって、大まかには、自ら犯罪を実現する意思を持って共犯者と意思を連絡して犯罪を行う「共同正犯」と、従たる立場で正犯者の犯罪の実現に関与する「幇助犯」「教唆犯」があります。

「幇助犯」とは、正犯者の犯罪の実現を容易にしたもの(例えば、犯罪現場からの逃走を手伝ったなど)、「教唆犯」とは、正犯者をそそのかして犯罪を実行させた者のことです。

 

2 共犯事件の難しさ

(1)共犯者の間での利益の対立のおそれ

共犯事件では、共犯者ごとにそれぞれ言い分がありますし、利害関係も様々です。特に、共犯者の間でも利害が対立することはよくあることです。典型的には、共犯者それぞれが罪を軽くしようと考えた結果、双方が「主犯格は自分ではなく共犯者である」と押し付け合う場面がそれに当たります。
自白をするかどうかの場面では、他の共犯者がいかなる供述をしているかが関心事になります。

これらの状況は、現実の事件でも十分に起こりえます。共犯事件で被疑者・被告人という立場に置かれた方は、自分がどのように振る舞えば最も利益になるかを判断しなければなりません。

(2)厳しい身体拘束のおそれ

共犯事件では、共犯者全員まとめての身体拘束に発展することが少なくありません。捜査機関は、共犯者が互いに連絡を取り合い、証拠隠滅をすることを強く警戒します。そのため、単独犯であれば身体拘束にまで発展しないような事件についても、主犯に対する捜査の飛び火で逮捕・勾留の手続が取られることもあります。

さらに、共犯事件は込み入ったものが多く、捜査は時間がかかりがちです。したがって、身体拘束が単独犯に比して長くなる傾向にあり、勾留の延長がされやすかったり、保釈がされにくかったりといった不利益を受けることが多いです。また、接見禁止が付くケースが非常に多く、家族や友人の方の面会は大幅に制限されます。

 

3 共犯事件における弁護活動

共犯事件においては、弁護人としても共犯事件ならではの難しさがあります。そして、その難しさは、共犯者間でいかに自身の利益を実現するかというだけにとどまりません。

(1)複数の共犯者からの受任について

一人の弁護士が、複数の共犯者の弁護をすることは、原則としてできません。なぜなら、共犯者の利害が互いに対立することは決して少なくないからです。典型的には、2人の共犯者が互いに「主犯はあいつだ」と言っている場合に、両方の弁護人を引き受けると一貫した主張ができなくなってしまいます。これでは、弁護人はもはや依頼者の味方と呼べません。

このような場合、共犯者の弁護人間で必要な範囲で協力して対処するか、個別に対処することとなります。他方で、非常に稀ですが、一部の共犯者間で利害が完全に一致している場合には、かえって複数の依頼者からまとめて依頼を受けるべきケースもあります。弁護人にとっては、その見定めにあたって、非常に厳しい判断を迫られることになります。

(2)身体拘束からの解放

上記のとおり、共犯事件では厳しい身柄拘束を受けがちです。その早期解放を目指すことは、弁護人にとって非常に重要です。勾留が始まるまでに、裁判官と面談をしたり、勾留が決定されてしまったら、勾留の開始決定に対して準抗告という異議申立てを出したり、逮捕後事情が変わったとして勾留の取消請求を出すこともあります。さらに、勾留が延長されたことに対してさらに準抗告を出すことや、起訴後に保釈請求をするなど、身体拘束に対して弁護人は臨機応変に対応することが求められます。

(3)裁判手続

共犯事件においては、併合審理(他の共犯者と一緒に裁判を受ける)を選択すべき場合と、手続を分離(裁判所に、他の共犯者とは別に審理をして欲しいと求める)すべき場合があります。そのどちらを選択し、いかに裁判所を説得するか、ここも弁護人として訴訟戦略的に難しい判断を迫られる場面です。

また、特に併合審理をする場合には、共犯者の弁護人が一堂に会することになります。他の弁護人に明らかに劣っては、自分の依頼者に有利な結論が導かれることはありえません。弁護人にとっては、法廷で力量が問われる一場面となります。

【コラム】被害者参加制度と弁護士

2015-12-10

1 刑事裁判と犯罪被害者

刑事裁判は、検察官が被告人を起訴し、裁判所が、当該被告人が有罪であるかどうかを判断するという仕組みです。
犯罪被害者は、従来、証人として法廷に呼ばれて、質問される範囲において証言することができるだけで、それ以外に刑事裁判に関与することができませんでした。

しかし、平成19年6月に、「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」が成立し、犯罪被害者も一定の範囲で刑事裁判に参加することができるようになりました(「被害者参加制度」)。

 

2 被害者参加制度の概要

(1)被害者参加人となることができる者の範囲

刑事裁判に被害者参加できるのは、被害者等(被害者本人、被害者に死亡又は重大な心身の故障という重大な結果が生じた場合はその配偶者・直系の親族及び兄弟姉妹)、被害者等の法定代理人、被害者等から委託を受けた弁護士です。

(2)被害者参加できる犯罪類型

被害者参加制度を利用することができる犯罪類型は、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、業務上過失致死傷罪、自動車運転過失致死傷罪、強姦・強制わいせつ等の性犯罪、逮捕・監禁罪、略取・誘拐罪等に限定されています。

(3)被害者参加人としてできること

被害者参加人は、検察官の権限行使について意見を述べることができるほか、裁判に出席して(傍聴席ではなく当事者として法廷内で着席することができます。)、以下の事項を行うことができます。

①証人尋問
  被害者参加人は、証人に対して、情状(刑の量定にあたって判断すべき事項)に関する事項について、直接尋問を行うことができます。
 

②被告人質問
  被害者参加人は、被告人に対して、犯罪事実・情状に関する事項について、直接尋問を行うことができます。

③意見陳述
  被害者参加人は、最終意見陳述として、犯罪事実や法律の適用及び被害者参加人が適当であると考える求刑について意見を述べることができます。

 

3 被害者参加制度と弁護士

刑事裁判は法律に基づく複雑な手続であるため、一般の方が参加しても十分な活動ができるのか不安をお持ちになる方も少なくありません。
また、被害者が加害者にかかわる場面は、上記の外にも、加害者又はその代理人との示談交渉、少年事件における家庭裁判所での手続、賠償命令制度の利用などの民事手続、ケースによってはマスコミへの対応が必要になることもあります。

そこで、刑事裁判の専門家である弁護士が、犯罪被害者の皆さまの痛切な思いを伝えるお手伝いをいたします。弁護士費用を支払うことが困難な犯罪被害者のために、国選被害者参加弁護士の制度もありますので、被害者参加制度の利用をご希望される場合は、是非一度弁護士にご相談ください。

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